712　山本有三記念館内　　-でかけませんか？-

712　三鷹市山本有三記念館　2館内　
　三鷹市（Mitaka‐City ）
08/09/28　Sun.

お気に召さないときは止めてください。

♪「パラゴン・ラグ」
オルゴールバージョンです♪

ページ容量　1,272.2KB　予想ダウンロード時間　9600=20分　64ｋ=3分　1M=12秒　Photo=26枚

ピクチャレスクの家

三鷹市山本有三記念館　HP
『路傍の石』で有名な　山本有三氏が昭和11年から10年間住んでいた三鷹の自宅が
記念館として見学できるそうなので訪ねてみました。　ご一緒にどうぞ。
なお、ページ内の室内名はページ中央の「平面図」名称を引用しています。

三鷹市山本有三記念館

【開館時間】
9:30～17:00

【入館料】
一般：300円
中学生以下：無料
障害者手帳所持者と介助者１名無料
※校外学習の高校生と引率教諭無料

【休館日】
月曜日
（月曜日が祝休日の場合は開館し、
翌日と翌々日は休館）

【所在地】
〒181-0013 三鷹市下連雀2-12-27
電話：0422-42-6233

撮った写真が多かったので
家の外、公園を含む建物の外観と
撮影フリーの館内と展示物に分けて
ページを作成いたしました。

訪問した日は特別展「路傍の石」展　＜吾一の明治・大正・昭和そして今＞　開催中のため
「路傍の石」に関するものが、多く展示されています。

応接間

1936（昭和11）年4月、山本有三は執筆に適した静かな環境を求めて三鷹の家（現・山本有三記念館）に移り住み、ここで代表作である「路傍の石」を執筆しました。翌年1月1日から6月18日まで朝日新聞に第一部が連載され、1938（昭和13）年11月号からは新たに「新編路傍の石」として「主婦之友」に連載されました。しかし、検閲干渉により1940（昭和15）年8月号に「ペンを折る」を記して、やむなく連載を中止しました。戦後は時代状況が大きく変わったため、有三は続編を書き継ぐことはありませんでした。‐冊子より‐

1.山本有三　栃木に生まれる
*

　明治20年7月27日、栃木県下都賀郡栃木町（現、栃木市）にうまれる。（生家は山本有三ふるさと記念館の右隣、現在の銀巴里理髪店）
本名は勇造。
　父元吉は呉服業を営んでいたが、有三誕生後まもなく、路地裏（現在の栃木グランドホテル敷地内）に引っ込み、高級な京呉服の注文をとり、それを納める"いいものを少し"扱う、かつぎ商人となって成功した。
　ひ弱な一人っ子として大切に育てられ、女中の送り迎えで私立栃木幼稚園に2年間通った。

2.ガキ大将時代
*

　栃木尋常小学校、栃木高等小学校に通う8年間、全学年首席を通した。体力的にはやや劣り、郊外の錦着山の急斜面の滑り降り、水泳などは苦手であったが、、負けず嫌いで意地っ張りだった有三は何度も挑戦し、真剣に取り組んだ。その姿は周囲を圧倒し、精神的ガキ大将として、幼な友達の信望を集めた。
　この頃、漢学塾で素読を学ぶ。また芝居好きな母に連れられて、よく明治座で歌舞伎などを見た。

3.進学を断たれ丁稚奉公へ
*

　15歳の春、有三は栃木中学校進学を切望したが、父は許さず家業を継がせるために浅草の老舗、伊勢福呉服店に丁稚奉公に出されてしまった。
しかし、商人の生活がいやで、蔵の中で本を読んでは叱られ、結局1年足らずで郷里栃木に逃げ帰って来た。

4.進学の道へ、だが父の急逝
*

　学問をしたいと再び願い出たが、父は許さず家業の手伝いを強いた。その後も父との衝突を繰り返したが、母の取りなしで上京が叶い、ようやく勉学の道が開けた。有三18歳の時であった。
　翌年、東京中学校5年級に編入、さらに翌年岡山の第六高等学校に合格する。
　　"父、初めて喜ぶ"・・・・しかし合格の2ヶ月後、不幸にも父急逝。
入学を断念し、再び郷里に戻り家業に就くことになる。

5.向学の火消えず、栃木を去る
*

　呉服業を営みながらも勉学を続け、22歳の時、ついに第一高等学校入学を果たした。家業を従兄弟に託し上京、寄宿寮に入る。同級生に土屋文明、豊島与志雄、芥川龍之介、菊池寛、久米正雄らがいた。
　2年後、東京帝国大学独逸文学科選科に入学。本籍を東京都本郷区駒込に移し、翌年、家業を廃業し、母を呼び寄せ同居。有三は全く栃木を捨てたのである。有三26歳の時であった。

　戦争に翻弄された未完成の作品は
一般的には早く忘れ去られるものですが、
「路傍の石」は戦後も読み継がれ、
特に日本の高度経済成長と
歩調を合わせるように脚光を浴びて行きます。
昭和30年代に3度の映画化、1966（昭和41）年には
NHK総合テレビの連続ドラマにもなったほか、
教科書にも繰り返し掲載されました。
‐冊子より-

6.ふるさとはいいなあ
*

　父との確執、嫌悪した商業の町・・・有三は、苦い思い出の多い栃木と一度は決別したが、一高当時に憧れだった栃木中学校の庭で旧友と遊んだり、昭和19年には幼友達の計らいで、二女と三女を伴って疎開するなど、栃木を故郷として思う気持はなくしてはいなかった。
　昭和38年3月9日太平山（おおひらさん）公園謙信平に建立された山本有三文学碑の除幕式に訪れた有三は、“ふるさとは、なんと温かく自分を迎えてくれることだろう”と感慨深くあいさつした。晩年の有三は栃木をこよなく愛し、大切にした。

　昭和49年1月11日、有三は86歳の生涯を閉じた。今ふるさと栃木市万町の菩提寺、近龍寺の墓所に眠る。

食　　堂

7.有三の文学と作品
*

　有三の文体は簡潔で、わかりやすい。父元吉から受け継いだ"いいものを少し"の精神は、作家活動においても貫き通した姿勢であり、日常生活万端でもそうであった。"山本有三は無駄のない創作をした"といわれる所以である。
　有三の作品には、戯曲に「生命の冠」「坂崎出羽の守」「同志の人々」「女人哀詞」「米百俵」など、小説に「生きとし生けるもの」「波」「女の一生」「真実一路」「路傍の石」「無事の人」などがある。また、次代を担う青少年の育成に心を配り、児童文学・国語教科書の編著もある。作品の多くは真実一路、日向性の姿勢をとり、人生の教科書としての敬慕を寄せられる価値を備えられている。
　多くの読者を得て映画化された作品も多い。「路傍の石」では実に4回の映画化で話題を呼んだ。

山本有三1.～7.　冊子より

長女部屋

ページトップの　山本有三氏のスチール写真は
こちらのお部屋に飾られていました。

ヌック

洋書斎

戦前は軍部の圧力によって中断を余儀なくされ、
戦後は占領軍の検閲によって完成を阻害されたという事実が
端的にその面白さの理由を示していると言っていいのだが、
しかし、この小説の面白さはむしろ、軍部や占領軍以上に、
いわゆる左翼側からも批判を浴びずにはいないその構えにこそある。
ｘ　　　　　ｘ　　　　　ｘ　　　　　ｘ　　　　　ｘ
「路傍の石」の中断を最終的に決定したのは、皮肉にも、
戦後民主主義にほかならなかったと言うべきかもしれない。
たいていの人間、とりわけ文化人なるものは、イデオロギｰで考える
のであって、山本有三が一連の長編の最後にたどりついた承認を
めぐる闘争という考え方は、より表面的な人道主義、倫理主義の
装いの背後に隠れ、気づかれもしなかったのである。あるいは、
山本自身、小説が何を実現しているのか、何を達成しているのか、
気づいていなかったのかもしれない。第1部最後に披露される
吾一の考え方を左翼全盛の時代状況の中でどのように展開
させてよいか、途方に暮れたのかもしれない。
ｘ　　　　　ｘ　　　　　ｘ　　　　　ｘ　　　　　ｘ
〈特別寄稿〉三浦雅士
「路傍の石」第2部はなぜ書かれなかったか？より抜粋